佐藤真空機器の応用例
電子機器、半導体製造装置等に使用される精密機器部品では組付後に表面に付着している物質がガス化して種々の影響をおよぼすケースが見られる。これは、部品加工後の純水洗浄,乾燥処理によって表面をぬらしている液層は蒸発しても表面に付着分子として残留したものが微量ながらもガス化して、悪影響を及ぼしていると考えられる。洗浄後の部品表面の清浄度を上げる事は付着物質のガス化除去が一方法である。 乾燥時よりも処理温度を上げる事で付着物質を活性化し、かつ表面から離脱しやすいように周囲圧力を低くする。この一連の操作を実現するのが真空ベーキング装置である。従って、表面清浄度が必要な程処理温度は高く、圧力は低くなる。これは熱処理後の部品等、洗浄だけでは処理しきれない重質油のクリーニングなどにも有効な方法である。 一般的には金属加工部品の水系、有機溶剤系での洗浄、乾燥処理後および重質油類の表面清浄化に利用されるが*近では樹脂系製品の処理にも利用されている。 佐藤真空機器の応用例 当社では今まで多くの真空ベーキング装置を製作納入してきた実績があり、その機種と特長を紹介する。
当社では表-1に示すように広範な温度、圧力範囲で角型容器をベースとした真空ベーキング装置を提供しています。 外形寸法的にはトレーラで輸送できる大きさが上限寸法となります。機種は圧力範囲(到達真空度)で区分すると中真空域のDY型、高真空域のDH型となる。温度で区分すると加熱温度700℃以下のDY,DH型、800℃~2200℃までのVHF型となる。VHF型はヒータ構造がカーボンまたはメタル(モリブデン、タングステン)ヒータとなり、DY,DH型のシーズヒータとは異なるので槽内寸法、設定温度等、真空排気系も含めてユーザ仕様に基づいて製作する事になります。 (1)温度と圧力設定 佐藤真空機器の応用例 処理部品表面に要求される清浄度(ガス発生量)とベークアウトしたい物質から装置の加熱温度、到達圧力(真空度)が決められる。加熱温度が高い程、付着物質の表面離脱は活発になり処理時間は短くなる。部材の耐熱温度で処理温度が制限されるならば到達圧力を低くする程処理時間は短くなる。通常使用するヒータ構造から設計上限温度は700℃であるがコストを考えるならば500℃以下が一般的となる。500℃以上では製作可能でもヒータ構造が変わるのでコスト高となる。ヒータ容量は設計温度までの昇温速度で決まる。PID制御で昇温した場合、常温~500℃までの昇温時間は約2.0~2.5hr位であり、常温~300℃でも1.5~2.0hr程度である。 (2)真空排気系 設定温度300~500℃ならば付着物の許容ガス発生量(残留ガス量)から到達圧力(真空度)を決める事になる。排気システムは槽内到達圧力により表-1のように油回転ポンプだけで良いか、ターボ分子ポンプとの併用になるか組合せが決まる。 槽内クリーン度を維持するために油蒸気の混入を避けたい場合は粗引き、補助排気ポンプにドライポンプ、高真空排気にターボ分子ポンプを組合せた排気システムになる。さらに槽内クリーン度の条件が厳しい場合は高真空排気にクライポンプを使用する事になる。コスト的には槽内圧力が油回転ポンプのみで実現できる範囲が*も安価である。 (3)冷却方式 槽内を昇温し設定温度に所定時間キープした後、取出し温度まで冷却するにはタクトタイムあるいは処理材品質の点から真空放冷、N2ガス置換、N2ガスフロー、N2ガス強制循環冷却のどれかを選択する事になる。冷却時間が短いのは強制循環冷却であるがコスト高になる。真空放冷は安価な方法であるが冷却時間が長くなる。N2ガス置換、N2ガスフロー等、冷却時のN2ガス導入タイミング(温度)はシーケンス的には設定温度キープ後ならばどのタイミングでも可能だが処理材品質の点からユーザ仕様として決めていただく事になる。
以上、述べてきたように表面清浄度を上げるにはいかにして表面付着物質をガス化離脱させるかであり、1つの方法として真空ベーキングがあげられる。 当社では温度、圧力レベルに対応した機種を製品化しているが、*近の傾向としてはカタログに掲載されている仕様で製作するよりもユーザ仕様に基づいて使用目的に合ったカスタマイズ製品として提供しているケースがほとんどである。ベーキング仕様(温度、圧力)を決めるのは非常に難しいと考えられますが、当社ではテスト用装置(温度~500℃、圧力×10-4Paオーダ)を常設しているのでサンプルテストを行った上で仕様決定される事をおすすめします。佐藤真空機器の応用例
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